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ブランディングとマーケティングの違いを知っていますか?相違点を比較します

  • 執筆者の写真: 貴代 長尾
    貴代 長尾
  • 2 日前
  • 読了時間: 11分

ブランディングとマーケティングは、ビジネスをするうえで切り離せない関係です。 現代のビジネス環境では、製品やサービスの質だけでなく、「どのように伝え」「どんな価値を感じてもらうか」が重要です。両者の必要性や意味はなんとなく知っていても、定義や違いを明確に説明できないという方も多いのではないでしょうか。 本記事では、ブランディングとマーケティングの違いを解説し、自社の成長戦略を見直すヒントを提供します。 デザイン思考・デザイン経営でお困りなら一般社団法人ブランディングデザイン協会へ


目次


ブランディングとマーケティングの違いを比較

ブランディングとマーケティングの違いを一覧で見てみましょう。

 

ブランディング

マーケティング

目的

企業そのものや商品、サービスの価値やイメージを高め、消費者と良好な関係をつくる

消費者の購買行動を促進し、商品・サービスの売上や市場シェアを拡大する

対象範囲

ブランドコンセプトに関連する要素

(ロゴ・カラー・メッセージ・企業理念など)

販売活動すべてに関連する要素

(市場調査・広告・販促活動・プロモーション・価格戦略・チャネル設計など)

取り組み期間

長期的

(ブランド価値の浸透や定着には時間がかかる)

短期的

(キャンペーン単位など、比較的スピード重視の戦略も多い)

手法

●   ロゴ・カラー・ビジュアル統一

●   ブランドストーリーの構築

●   オウンドメディア・SNSの発信など

●   プロモーション(広告・SNS・販促)

●   商品企画など

戦略立案プロセス

  1. ミッションやビジョンの明確化

  2. ブランドコンセプトの策定

  3. ブランドコンセプトを表現するロゴなどを制作

  4. ブランドコンセプトを発信

  1. ニーズや市場の調査

  2. 調査結果の分析・戦略立案

  3. 商品やサービスの開発や改善

  4. 販売や広告などの施策

成果検証

ブランド認知度・好感度・ブランドロイヤリティなど

売上・利益・コストなど

ブランディングとマーケティングの定義

「ブランディング」と「マーケティング」とはそもそも何か?について、ここで詳しく紹介します。

ブランディングとは?

ブランディングとは、企業や商品・サービスの価値を高めることです。ブランドは、企業そのものや商品、サービスなどを認識する、名称やデザイン、シンボルマークなどを指し、これらブランドに対して、消費者に一貫した印象を持ってもらうための活動が「ブランディング」です。具体的には、消費者が企業名や商品名を見たり聞いたりしたときに、「このロゴマークは、どこの企業」「この商品といえば、あのメーカー」などように認識し、「高級」「安心」など抱くイメージを統一させることです。ブランディングは企業や商品の「らしさ」を形づくり、消費者との強い関係性を築くための重要な戦略です。ブランディングに成功すれば、価格競争に巻き込まれにくくなり、顧客の信頼や愛着が生まれ、長期的なファンを獲得しやすくなります。

マーケティングとは?

一方、マーケティングは、商品・サービスを売るための戦略全般のことです。商品やサービスが「売れる仕組み」を構築し、実行するためのさまざまな活動や戦略を指します。具体的には、消費者のニーズや市場の動向を把握し、商品開発、価格戦略、販促活動、販売チャネルの選定など、顧客に商品を届けて購入してもらうまでの一連の流れが含まれます。従来のマーケティングにおいては、認知度を上げることが売り上げに直結していたため、広告宣伝やプロモーション活動がマーケティングだと捉えられていました。しかし認知度の向上が売上につながるとは限らない現代においては、マーケティングは売れ続ける仕組みを作ることと認識され、顧客満足やブランド価値の向上、継続的な関係構築も重視されるようになっています。


ブランディングとマーケティングの違いをわかりやすく解説

ブランディングとマーケティングの違いをみていきましょう。記事の冒頭でも紹介しましたが、ブランディングとマーケティングは以下の6つの点で異なります。

●   目的・目標

●   対象となる範囲

●   取り組む期間

●   手法

●   戦略立案プロセス

●   成果検証

それぞれ詳しく解説します。

違い1:目的・目標の違い

ブランディングの目的は、企業や商品・サービスの価値やイメージを明確にし、それを消費者が抱くイメージとして定着させることにあります。「認知」「共感」「信頼」などの感情にアプローチし、消費者と良好な関係をつくることを目指します。ブランディングに取り組むことで、競合他社との差別化やブランド価値の向上、長期的なファンの獲得などが期待できます。たとえば、企業名やブランド名から「洗練された空間」「心地よい接客」というイメージが浮かぶのは、ブランディング活動の成果です。一方、マーケティングの目的は、商品やサービスが「売れる仕組み」を構築し、消費者の購買行動を促進させることです。適切なターゲットに対して効率的かつ効果的に届け、最終的には商品・サービスの売上や市場シェアの拡大を目指します。そのため、マーケティングでは「売上〇〇円の達成」「CV率を○%向上」などの具体的な目標が設定されます。ブランディングは消費者への印象付けや信頼性を育てるなど、抽象的な価値を重視するのに対し、マーケティングは顧客行動や売り上げなど、具体的な成果につなげるための戦略であるという点に違いがあります。

違い2:対象となる範囲の違い

ブランディングの対象となるのは、企業や商品・サービスにまつわる「印象」や「体験」全体です。ロゴなどの視覚的な要素をはじめ、企業理念やビジョン、SNSでの発信など、消費者との接点すべてがブランディングの範囲です。企業の内側から外側まで一貫した価値提供が求められる、非常に広い範囲を対象とします。一方、マーケティングは、より実務的なものに限定されます。市場調査・広告・販促活動・プロモーション・価格戦略・チャネル設計など、商品・サービスを市場に届けるための具体的な施策が対象です。ブランディングは企業全体を包括的に構築する活動であり、マーケティングは「消費者に届ける手段」に特化した活動といえます。

違い3:取り組む期間の違い

ブランディングは、長期的な視点で取り組むべき活動です。消費者の持つ印象やイメージを定着させ、信頼を得るまでには時間がかかります。また、ブランドイメージや価値は一度築かれても、時代や市場環境は変化するため、それらに合わせて見直しすることも大切です。ブランドを築くためには、メッセージ発信や体験設計を積み重ね、継続して更新していかなければなりません。長年にわたる一貫したブランド体験の提供によって、認知から信頼、ロイヤルティへと進化していくのです。それに対してマーケティングは、短期から中期の成果を重視することが多いです。たとえば、プロモーション施策やキャンペーンでは、数週間〜数か月などの短いスパンで、実践と効果測定、改善が行われます。商品開発などのように長期的なマーケティング戦略もあるものの、基本的には短期成果をベースに戦略が組まれます。ブランディングは時間をかけて信頼を築く長期的なプロセスであり、マーケティングは成果を生み出すための短期的な戦略という違いがあります。

違い4:手法の違い

ブランディングの手法は、消費者の感情や価値観に訴えかけるアプローチが中心です。ブランドコンセプトの明確化、ブランドストーリーの構築、ロゴや色使いなどの視覚的要素の具現化、トーン・マナーの統一、企業の社会的責任(CSR)などが含まれます。またオウンドメディアやSNSを通じて、一貫したメッセージを発信し続けることも重要です。マーケティングの手法は、市場調査、競合分析、ターゲティング、広告運用、コンテンツマーケティング、SNSマーケティングなど、幅広いツールや戦略が用いられます。ブランディングはイメージや価値など「感性」に訴えるもので、マーケティングは購買などの「行動」に訴えるという違いがあり、アプローチ方法そのものが大きく異なります。

違い5:戦略立案プロセスの違い

ブランディングの戦略立案は、自社のミッションやビジョンの明確化から始まります。「どのようなことを目指し、どのような価値を提供するのか」を定義し、それを基にブランドコンセプトの策定や、それを表現する視覚的要素などの作成を進めます。そして消費者とのすべての接点を洗い出し、一貫したメッセージや体験を届ける方法を決めていきます。一方、マーケティングの戦略は、まずは消費者のニーズや市場の調査を行い、それらのデータに基づいて立案するのが特徴です。誰をターゲットにするのか、どのような手段で提供するか、競合との差別化要因は何かなどの視点を持って戦略を考えます。また調査から得られた情報をもとに商品やサービスの開発・改善を行うことも大切です。そして、販売や広告などの施策を実行し、施策の効果測定や改善を繰り返し行います。ブランディングの戦略立案プロセスは、ブランドの価値やイメージをどのように伝えるかが中心であり、マーケティングは市場や消費者にどのようにアプローチするかが中心です。

違い6:成果検証の違い

ブランディングの成果は数値化が難しいため、定性的な評価が多くなります。「ブランド認知度が上がった」「顧客からの信頼が高まった」など、数値で表せない感情や印象の変化が中心だからです。そのためブランド認知度を調査するなどして、消費者の意識変化を計っていく必要があります。一方、マーケティングの成果は、比較的数値で示しやすいのが特徴です。売上の増加や広告のクリック率、コンバージョン率など、具体的な数値をもとに効果を検証できます。ブランディングは数値化や可視化しにくい価値やイメージの積み上げであり、マーケティングは目に見える成果を生み出す活動です。そのため成果の見え方に違いがあり、検証方法も明確に異なります。

ブランディングとマーケティングの共通点

ブランディングとマーケティングはそれぞれ異なる役割やアプローチを持っていますが、ビジネスの成長や消費者との関係構築においては密接に関係しています。たとえば、ブランディングもマーケティングも、最終的なゴールが共通しています。ブランディングは心理的なつながりを重視し、マーケティングは具体的な行動を促しますが、いずれも「消費者に選ばれ、継続的な関係を築く」というゴールを目指します。また、どちらも「消費者に価値を届ける」という点も共通しています。価値の対象は異なりますが、ブランディングはブランドの価値、マーケティングは商品・サービスの価値を伝えるものです。両者は互いに影響を与えながら、企業やブランドの成長に貢献しています。ブランディングにより、消費者の中で信頼や好意などのよいイメージが醸成されると、マーケティングでの販売戦略でもよい影響を与えます。また、一貫したマーケティング活動によって、消費者が抱く企業イメージの統一や認知、信頼にもつながり、結果としてブランディングにも貢献します。ブランディングとマーケティングを別物として扱わず、共通する部分もあることを理解し、それぞれの活動を連動させていくことが重要です。

まとめ

ブランディングとマーケティングは、どちらもビジネスを行ううえで必要不可欠ですが、それぞれ目的やアプローチする手法、検証方法など違いがあります。 ブランディングは、企業や商品の価値やイメージを長期的に育て、消費者の信頼や共感を得るための活動です。一方、マーケティングは、商品やサービスを売る仕組みを構築し、売上や成果を生み出すための戦略です。 ブランディングとマーケティングは密接に関係するものであり、それぞれの活動を連動させていくことで相乗効果も期待できます。ビジネスの成長には、ブランディングとマーケティングの違いや共通点を理解し、双方の視点を持つことが重要です。 今回はブランディングとマーケティングの違いについて解説しましたが、より詳しく学びたいという方は、「デザイン思考検定」による学習がおすすめです。 デザイン思考検定では「ブランディング」をはじめ、ビジネスに大切な「デザイン思考」や「DXリテラシー」について学習し、試験による知識の確認を行います。 さらにスキルアップとして「ブランディングデザインコーディネーター資格取得講座」もあります。今こそ、感覚的に使っていた「ブランディング」「マーケティング」の理解を深め、自社の戦略に活かすタイミングかもしれません。

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