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中小企業におけるDXとは?DXが必要な理由や取り組み方を解説

  • Branding Design Association
  • 7月10日
  • 読了時間: 11分

更新日:9月10日


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中小企業がこれからの時代を生き抜くために、欠かせないのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。 しかし、DXと聞くと「大企業の話」「IT化と何が違うの?」と思う方も多いでしょう。 そこで本記事では、中小企業にとってDXとは何か、その必要性や取り組み方についてわかりやすく解説します。人手不足や業務効率化に悩む経営者の方は、ぜひ参考にしてください。 デザイン思考・デザイン経営でお困りなら一般社団法人ブランディングデザイン協会へ


目次


DXとは?

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化そのものを変革する取り組みのことです。DXは単なるIT化とは異なり、業務効率化だけでなく、新しい価値の創出や競争力の強化が目的です。 自社のビジネスの在り方そのものを見直し、デジタルを通じて“強みを磨く”ことです。たとえば、アナログで培ったノウハウをクラウドで共有化すれば、属人化の回避や事業継承にもつながります。


DXとIT化の違い

DXとIT化には、以下のような違いがあります。

DXとIT化の違い

 

DX

IT化

意味

ビジネスや企業文化そのものを変革する

業務の一部をデジタル化する

目的

新しい価値の創出や競争力強化

業務の効率化・コスト削減

取り組み例

新サービス開発、ビジネスモデル転換

経理ソフト導入、ペーパーレス化

規模

全社的な改革

部分的な改善


中小企業にDXが必要な理由

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中小企業は人手不足や市場の競争激化など、さまざまな課題を抱えています。これらの課題を解決する手段としてDXは非常に有効です。とくにここでは、中小企業にDXが必要な理由について解説します。


人手不足による業務負担を解消させるため

中小企業では、慢性的な人材不足が大きな課題です。採用難や離職率の高さから、少ない人数で業務をこなすことが多く、従業員一人ひとりの負担が増大しています。その結果、残業時間の増加やミスの発生、生産性の低下といった悪循環に陥るケースも見られます。そこで、DXによる業務の自動化は、この問題の抜本的な解決策として注目されています。具体的な取り組み例としては、紙ベースで行っていた業務をクラウド化することです。経理や請求業務など定型的な作業は、専用の自動化ツールを活用することで効率化できます。顧客対応では、チャットボットの導入により、問い合わせ業務の一部を自動化する方法もあります。

顧客ニーズの多様化による競争の激化に対応するため

近年、消費者の価値観やニーズは多様化が進んでおり、従来の画一的な商品やサービスだけでは顧客の心をつかむことが難しいです。中小企業にとっては、大企業と競合するなかで、柔軟に対応できる力が求められます。 このような状況では、DXは極めて有効な手段です。たとえば、顧客の購買履歴や行動データを活用したマーケティングにより、パーソナライズされた提案を行えます。SNSやECサイトを活用した情報発信やオンライン販売の強化をすることで、地域や時間にとらわれない顧客獲得が実現できます。また、オンライン予約システムやチャットサービスを導入すると、顧客満足度の向上と同時に業務効率化も進められます。

事業の継続や拡大に対応するため

これまでのアナログな方法だけでは、急速に変化する市場環境に対応することは難しいです。DXを活用すると、事業の基盤を強化し、将来に向けた新たなビジネスチャンスの創出が可能です。 たとえば、オンライン会議システムやクラウドツールの活用が有効です。これらを使用すると、テレワークやフレックス勤務など多様な働き方に対応できる環境が整備され、若い人材の採用や定着にもつながります。加えて、新たな販路開拓として、ECサイトやオンラインサービスの導入により、地域に限定されない事業拡大も行えます。


中小企業におけるDXの課題と解決策

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中小企業がDXを進めるうえでは、共通する課題があります。ここでは、主な課題とその解決策をいくつか紹介します。


ITに対する専門人材が不足している

中小企業では、ITに精通した人材が不足しているという課題を抱えています。専任でDXに取り組めない企業が多く、他の業務と兼務する形で対応しているケースも少なくありません。新たに専門人材を採用しようとすれば、人件費の増加や育成コスト、採用後の定着までのプロセスも含めて大きな負担が原因です。

【解決策】

まずは既存の社員から適性を見極め、DXやITに興味がある人材を育成していく方針が現実的です。社内の教育プログラムに加え、外部研修やEラーニングの活用により、業務を続けながらでも学習を進められます。最近では、中小企業向けに特化したオンライン研修や地方自治体が提供するDX人材育成支援も充実しています。

予算の確保が難しい

DXに必要なITツールの導入や従業員への教育投資など、何をするにも資金が必要です。中小企業は、大企業のようにたくさん資金があるわけではないため、限られたリソースの中でやり繰りする必要があります。中小企業では既存事業の運転資金を優先し、DXへの投資は後回しにされる傾向があります。こうした背景から、せっかくDXに興味があっても「予算がないからできない」とあきらめてしまう企業も少なくありません。また、企業風土やDXに対する理解不足も課題の一つとして挙げられます。

【解決策】

自治体の補助金制度を積極的に活用しましょう。たとえば、「IT導入補助金」では業務効率化ツールの導入費用の一部を補助、「ものづくり補助金」では新しいサービス開発や設備導入に対する補助が受けられます。加えて、金融機関や地域の商工団体などでもDX支援のメニューが用意されていることがあるため、相談できるパートナーをみつけておくことも重要です。

従業員が業務フローや使用ツールの変更に対応できない

DXの取り組みにおいて、現場の従業員が新しい業務フローやITツールに対して抵抗を感じることはよくあります。「使いづらい」「面倒」「慣れたやり方のほうが楽」などの理由で、導入しても現場で定着せず、かえって混乱を招いてしまう可能性もあります。高齢の従業員が多い企業では、デジタルツールへの心理的なハードルが高く、ITに対する拒否感を軽減する工夫が求められます。

【解決策】

まずは現場の声を積極的に拾い上げ、小さな変化からスタートすることが大切です。一度にすべてを変えるのではなく、たとえば紙の報告書をデジタル化する、出勤簿をクラウド上で管理するといった、手軽に取り組める部分から段階的に進めましょう。また、ツール選定時には操作性やサポート体制も重視し、従業員にとって使いやすい仕組みを導入することで、抵抗感の軽減につながります。

具体的な効果・成果が見えにくい

DXは短期的に成果が出にくいケースが多く、「本当にやる意味があるのか」「費用に見合う効果があるのか」といった疑念をもたれることが多いです。このため、計画の途中で断念されるケースや、改善サイクルが止まってしまうといったリスクが伴います。

【解決策】

はじめから明確なKPI(重要業績評価指標)を設定し、どの指標で効果を測定するのかをチーム全体で共有しておくことが重要です。売上アップや業務時間の削減といった定量的な目標だけでなく、「問い合わせ対応時間の短縮」「クレーム件数の減少」「業務ミスの低下」などの定性的な指標も含めて、多面的に評価を行いましょう。また、効果が出た部分はしっかり可視化してください。その結果を社内共有することで、従業員のモチベーション向上にもつながります。

中小企業がDXを効果的に行う手順

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中小企業がDXを効果的に行うには、適切な手順を踏む必要があります。ここでは、DXを行う手順について詳しく解説します。

1.課題を可視化する

まずは、自社の業務プロセスや顧客との接点の状況を詳細に洗い出すことが重要です。定量的なデータ(業務にかかる時間、件数、コストなど)と、定性的な情報(現場からの声、顧客の反応など)の両面から分析し、どこに課題があるのかを明確にします。課題の見える化をすることで、取り組むべき優先順位や改善の方向性がクリアになり、現場の納得感も得やすくなります。

2.段階的に施策計画(ロードマップ)を立てる

いきなり全てをDX化しようとするのではなく、取り組める範囲から段階的に進めることが重要です。短期(3か月~半年)、中期(1年程度)、長期(数年)というスパンで、どの業務から着手し、どのように拡張していくのかを明確にしたロードマップを作成します。最初は小さな成功体験を積み重ね、社内の理解と協力を得ながら、徐々にDXの範囲を広げると効果的です。

3.適切なパートナーやツールを選定する

DXの取り組みでは、社内だけで全てを完結させるのは難しいケースが多いです。そのような場合は、ITに強い外部のコンサルタントの力を借りることが有効です。導入するツールやシステムも、自社の業務内容や規模にあうものを慎重に選定することが大切です。最新のクラウドサービスは、初期費用を抑えつつ、段階的に導入しやすいメリットがあります。

4.改善と効果検証を繰り返す

DXは一度で完成するものではなく、導入した後の運用・改善が非常に重要です。導入した施策の効果を定期的にモニタリングし、業務の成果が期待通りに進んでいるかを検証します。その際、現場からのフィードバックを積極的に収集し、使い勝手や課題点を把握して、柔軟に改善を加えることが求められます。PDCAサイクルを継続的に回すことで、DXの成果を最大限に引き出せます。

5.施策の改善や新たな施策へとつなげる

効果検証を通じて得られたデータをもとに、さらなる改善へと発展させていくことが重要です。DXは一度きりのプロジェクトではなく、事業環境の変化や顧客ニーズの多様化に対応するために、常に進化し続けるものです。新しいツールや技術の導入だけでなく、組織文化や働き方の変革も視野に入れ、競争力強化や企業成長につなげましょう。

中小企業がDXに取り組むときのポイント

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中小企業がDXに取り組むべきポイントはいくつかあります。どのような点に注意すべきかを確認しましょう。

従業員のフィードバックを収集する

導入したシステムやツールが、実際に現場でどのように活用されているのかを確認することは、DXを成功に導くうえで重要です。現場の従業員が、実際にツールを使いこなすユーザーであるため、その声を反映しなければ現実的な改善は望めません。定期的にアンケートやヒアリングを実施し、課題点や要望を集めましょう。加えて、意見を反映した改善が行われたことを従業員にフィードバックすることで、参加意識やモチベーション向上にもつながります。

ITツールの導入がゴールではない

DXは単に最新のITツールを導入することが目的ではありません。価値提供を変革し続けるための長期的な取り組みであることを理解する必要があります。ITツールの導入は、あくまでもスタート地点に過ぎません。導入後に、組織文化の変革や新しい業務プロセスへの適応を促進する施策が必要です。ツールだけに頼らず、企業全体で変革を受け入れる風土を創ることが、DX推進における本当の成功につながります。

新たなツールやサービスの追加を行っていく

テクノロジーは常に進化し続けるため、一度導入したITツールに固執するのではなく、最新のサービスや機能を積極的に取り入れていく姿勢が求められます。たとえば、クラウドサービスの新機能やAIを活用したデータ分析ツールなど、新しい技術の情報を常に収集することが必要です。

従業員のデジタルリテラシーを向上させ続ける

リテラシー向上は一過性の研修ではなく、“日常業務の中に学びを組み込む”ことが鍵です。例えば、朝礼で便利ツールを1分紹介したり、操作動画を社内チャットに流すだけでも、着実な底上げが可能です。

DXを推進する企業において、社員一人ひとりのデジタルリテラシーの向上は欠かせません。ITツールを使いこなすだけでなく、新たな価値創造に貢献できるスキルを身につけることが重要です。具体的には、定期的な社内研修や外部セミナーへの参加、資格取得支援制度の導入などを通じて、学び続けられる環境を整備しましょう。


デザイン思考検定DXリテラシー科目で知識を向上させよう!

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DXの取り組みを社内で円滑に進めるためには、まず一人ひとりが正しい知識を持つことが重要です。そのために役立つのが「デザイン思考検定DXリテラシー科目」です。 組織内に検定保持者を置くことで、社内の推進役としても活躍が期待されます。

中小企業では、少人数で大きな成果を求められることが多いため、検定を通じた教育は投資対効果の高い手段といえます。

まとめ

中小企業にとってのDXは、成長のために必要不可欠な戦略です。DXは遠い未来の話ではなく、今日から始められる“自社の未来づくり”です。まずは、小さな業務の見直しから一歩を踏み出しましょう。経営者の意思が、企業全体を変える原動力となります。

人手不足や競争の激化、事業継続といった課題に対処するため、小さな改善から始め、長期的な視点をもつことが重要です。DXをきっかけに、自社の魅力や強みをさらに引き出していきましょう。

デザイン思考検定の詳しい情報は、こちらをご覧ください。https://d-kentei.com/


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