千葉県を拠点に、産学官連携による地域課題解決に取り組む一般社団法人MIRAI KOMINKA for School。

同法人は、不動産・建築業を営む株式会社オカムラホームのSDGs宣言をきっかけに設立され、地域の学校・自治体・企業と手を取り合いながら、高校生を中心とした活動を5年以上にわたって続けています。

同法人がBDA(一般社団法人ブランディングデザイン協会)と関わり始めたのは、団体設立とほぼ同じタイミングでした。

デザイン思考を軸とした活動を積み重ねる中で、組織や学生たちにどのような変化が生まれたのか。

理事・中西氏に、実践のプロセスと5年間の歩みについて詳しくお話を伺いました。

■オカムラホームのSDGs宣言から生まれた、産学官連携のプラットフォーム

MIRAI KOMINKA理事中西氏

――まず、MIRAI KOMINKAがどのような団体か教えてください。

中西氏

2019年にオカムラホームがSDGs宣言をしたあと、しっかりと動ける母体をつくろうということで、一般社団法人MIRAI KOMINKA for Schoolを立ち上げました。

一企業だけでは成し遂げられないことを、学生を主体に地域の企業などさまざまな団体と連携しながらSDGsに取り組んでいくというのが目的です。

地域が抱える課題に、みんなで向き合っていくというテーマを主眼に置いて活動を続け、現在は5期を終えて6期目に入りました。

順調とまでは言えないかもしれませんが、いろいろな方と関わり合いながら一生懸命続けています。

■「教わりながら」始まった、デザイン思考との出会い

デザイン経営について語る中西氏

――デザイン経営との関わりはどのように始まったのですか?

中西氏

2020年度にMIRAI KOMINKAのキックオフを佐倉で行った際、BDAに入っていただいたのがデザイン経営との本格的な関わりの始まりです。

代表理事の長尾徹先生にも顔を出していただき、活動の組み立て方などを指南していただきました。

先生は千葉工業大学デザイン科学科で教授を務められているので、デザイン経営に関するノウハウを豊富にお持ちでした。

私たちとしても学びたいことが多くありましたし、デザイン経営という言葉自体、当時はまだ聞き覚えのないものでした。

デザイン経営について1つずつ教わりながら、学生と一緒に実践していきました。

■「気づき、考え、行動する」——失敗を恐れない文化はどう生まれたか

MIRAI KOMINKA理事中西氏

――学生たちとの活動の中で、大切にしていることは?

中西氏

まずは行動、実践してみるということです。

学生さんは、何かを試して初めて良し悪しに気づけます。

頭の中で考えているだけでは、最終的なゴールになかなかたどり着けません。

大人になっても間違えることはあるし、学生であればなおさら間違いを恐れがちですが、だからこそ、まずは挑戦してみる、行動してみるということを大切にしています。

「気づき、考え、行動する」というのは、我々の母体であるオカムラホームの金子代表がよく口にする言葉です。

考える前に行動して、そこから気づきを得る。恐れずにまずやってみようというのが、デザイン経営を通じた活動の軸にあります。

それと、会議室の中だけで完璧なものをつくろうとするのではなく、外に出ていくことも重視しています。考えごとを頭の中だけで進めていると、なかなか生産性が上がりません。

外に出て人とアイデアを共有することで、周りから意見や協力をもらえる機会が生まれます。

「何をやっているの?」と声をかけてもらい、活動を説明すると「それなら手伝えるよ」と言っていただけることも多いんです。

人と接する機会を自らつくっていくことが、この活動の根幹だと感じています。

 

■5年かけて見えてきた成果——学生の変化と、自治体からの信頼

MIRAI KOMINKAの学生について語る中西氏

――活動を通じて、どんな成果を実感していますか?

中西氏

一番の成果は、失敗を恐れず挑戦する経験を通じて学生自身が変化し、それが地域からの信頼にもつながってきたことです。

大人になると変化はなかなか起きにくいものですが、十代のうちにチャレンジして達成感を得ることで、次のステップへ踏み出す姿を何度も見てきました。

人として少し変わる瞬間が、活動の中で何度も見受けられるんです。

その先には、地元に残る学生もいれば、一度外に出てまた戻ってくる学生もいると思います。

デザイン経営を通じて成長した人材が、地域の担い手になっていくことが、活性化にもつながっていくと感じています。

自治体への年次報告を通じて、学生と一緒にしっかりやり遂げたと伝えられることも、私たちにとって大切な区切りになっています。

5年間活動を続けてこられたこと自体が、積み重ねてきた信頼の証だと感じています。

うまくいっていなければ、1年で終わっていたはずですから。

■「口酸っぱく言い続ける」——組織にデザイン思考を定着させるということ

MIRAI KOMINKAについて語る中西氏

――社内にはどのようにこの考え方を浸透させてきたのですか?

中西氏

MIRAI KOMINKAは、母体であるオカムラホームがデザイン経営を実践してきた土壌の上に成り立っている組織です。

具体的な取り組みとしては、社員全体がデザイン経営やデザイン思考を理解して動けるようにという方針のもと、定期的なインプットの機会が設けられています。

代表の金子からも、部署や個人に至るまでこの考え方を体現していこうという発信が続いています。

その流れの延長線上で、MIRAI KOMINKAに関わる私たちにも自然とデザイン思考が浸透してきました。

正直なところ、どこまで定着しているかは自分でもわかりません。

ただ、こうして改めて振り返ると「あ、できているのかもしれない」と感じる場面があります。

口酸っぱく言われ続けているうちに、いつの間にか染みついていく。漬物のようなものかもしれません。

私自身、6年ほど前に話を初めて聞いたときは「デザインとは形をつくるものではなく、プロセスや、ものごとを成し遂げるための考え方だ」と教わって、なるほどと感じたのを覚えています。

それ以来、社員の間でも「デザイン」という言葉に対する見た目だけではない理解が共有されていると思います。

■技術ではなく、考え方——AI時代にこそ問われるデザイン経営

デザイン経営について語る中西氏

――これからデザイン経営に取り組もうと考えている方へ、メッセージをお願いします。

中西氏

新しい技術は、あくまで手段であって、考え方そのものではないと感じています。

AIのような新しい技術をどう使っていくか、組織としてどう向き合うかを考えるうえで、デザイン思考やデザイン経営という軸を持っておくことは、良い機会になるはずです。

性格や根本的な考え方は、一人ひとりなかなか変えづらいものですし、新しいことに挑戦するのはハードルが高いことも理解しています。

それでも、学生たちがそうしてきたように、まずは行動してみる。話を聞いてみる。そこから始めるのが一番だと思います。

MIRAI KOMINKAは5年という節目を終え、6年目を迎えました。次の10年に向けて、今も一歩ずつ動き始めているところです。

 


一般社団法人MIRAI KOMINKA for School 理事・中西祐二氏

株式会社オカムラホームのSDGs宣言をきっかけに、2020年7月設立。産学官連携により地域のSDGs課題解決に取り組む一般社団法人。設立時期よりBDAと協働し、デザイン思考を軸とした高校生向け育成プログラムを展開している。


 

一般社団法人ブランディングデザイン協会(BDA)では、デザイン経営・デザイン思考に関心をお持ちの企業・経営者の方に向けた会員制度をご用意しています。

詳細はこちらからご確認ください。

 

千葉県佐倉市で、古民家を活用した多角的な事業を展開する株式会社オカムライズ。

同社は親会社であるオカムラホームの古民家事業から派生し、現在では旅館業からカフェ運営、レンタルスペース事業まで幅広いサービスを展開しています。

今回は、同社がBDA(一般社団法人ブランディングデザイン協会)を通じてデザイン経営の考え方を取り入れることで、どのように事業を発展させてきたのか、その実践的な取り組みについて詳しくお話を伺いました。

特に注目すべきは、失敗を恐れずスモールスタートで新しい挑戦を続け、データを分析しながら顧客のニーズを深く理解することで事業の幅を広げてきた点です。

デザイン経営を取り入れたことで、何が変わったのか。オカムライズのマネージャーとして経営に関わる大地諭氏に詳しくお聞きしました。

■一棟の古民家から始まった、非日常体験のプラットフォーム

オカムライズ大地氏

―― まず、株式会社オカムライズがどのような事業を手がけているのか教えてください。

大地氏

オカムライズは、親会社であるオカムラホームが古民家再生に取り組む中で、その施設の運営を担う会社として立ち上げました。

 

成田さくら邸の外観

現在は、千葉県佐倉市にある古民家を活用した貸切旅館・古民家カフェ・レンタルスペース、そして「Saunacamp かぐやの森」というテントサウナとバーベキュー、ドッグランなどを楽しめる屋外エリアを運営しています。

東京から高速道路で約一時間という立地で、非日常的な体験を提供できる場所としてさまざまな方に利用していただいています。

 

―― 具体的にどんな方が利用されているのでしょうか。

大地氏

かなり幅広いですね。貸切旅館はご家族やご親戚で一泊二日という利用もありますが、社員研修としてご利用いただくケースもあります。

 

成田さくら邸のいろり

例えば、企業の幹部や社員さんを集めて、かまどや囲炉裏を使いながら料理を作ってチームワークを確認するといった感じです。

また、CM撮影やドラマ・テレビ番組の撮影、振袖の着付け体験や写真撮影、婚活パーティーなど、古民家ならではの雰囲気を活かしたご利用もあります。

 

成田さくら邸の夜の外観

竹やぶや古民家の雰囲気が舞台に合うということで、刀を持った衣装の方がコスプレ撮影でご利用されることもあります。

婚活パーティーは、企業様がテーマを設けて開催されることが多くて、日本酒好きの方が集まる会などもありました。古民家ならではの空間がちょうど雰囲気に合うようです。

■スモールスタートの連続——モデルハウスが旅館になった理由

オカムライズについて語る大地氏

―― 現在のような多彩なサービスは、最初から計画されていたのですか?

大地氏

いえ、最初はオカムラホームのモデルハウスとして、時間をかけて家づくりを進めていく計画でした。

近くに田んぼや畑があるため、オカムラホームのお客様と一緒に農業体験をしながら、いろいろな体験ができる施設にしようと。

それが、2020年の東京オリンピック開催をきっかけに、佐倉市で「市街化調整区域内の古民家を活用した旅館業・飲食店が認められる」という条例が整備されました。

そこで、旅館業の許可を取得してみようという話になったのが、オカムライズの事業につながったのです。

実際に旅館業の許可を取得できたため、最初はインバウンド需要を取り込もうと考えていました。

 

―― しかしコロナ禍になってしまった。

大地氏

その通り、まさかの無観客オリンピックで、外国人のお客様を呼ぼうという計画は白紙になりました。

せっかく旅館業が取れたのにどうしようという状況で、まずテイクアウトの飲食をやってみることにしました。

その後、コロナ禍でも屋外のアクティビティならある程度できるという流れになり、テントサウナやバーベキューエリアも作りました。

今展開している事業は、古民家という箱をベースに、このように一つずつ追加してきたものです。

 

―― 失敗を恐れずに試す、という意識があったのでしょうか。

大地氏

デザイン経営で学んだことの一つが、まず小さく試してみるということです。

大きな費用をかけずに、できることからやってみて、うまくいかなければ学んで次に活かす。

外国人向けのサービスが響かなかったことも、失敗というより「都内のお客様の方がリピートしてくれている」という発見につながりました。

アンケートを積み重ねて分析した結果、今ではSNSの発信も都内に集中させています。

漠然と全国に向けて出していたものを、届けたい人に絞るようになりました。

■「箱」から「体験」へ——データが変えた発信軸

アンケート分析について語る大地氏

―― アンケートによる分析とは、具体的にどのようなものですか?

大地氏

お客様が来てくださった後に、何が良かったか・どこから来たか・何を目的にしたかを聞いて積み重ねています。

デザイン経営を学ぶ以前は「都内の方が多い気がする」「囲炉裏を喜んでもらえてる気がする」という肌感だけだったんです。

それを、なぜ都内のお客様が来ていただけるのか、何を喜んで帰られるのか、なぜリピートしていただけるのかを掘り下げて分析しました。

データとして見えるようにすることで、どこに集中すればいいかがはっきりしてきました。

 

―― 発信の内容自体も変わりましたか?

大地氏

大きく変わりました。以前は漠然とおしゃれな空間や建物をアピールする、いわば箱の紹介が中心でした。

しかし、分析の結果、お客様が求めているのは空間ではなく体験だということが分かった。

 

五右衛門風呂

今はInstagramなどのSNSで、「囲炉裏でこんな料理ができる」「五右衛門風呂を沸かして入れる」という過ごし方を具体的に発信しています。

貸切なのでプライベートな時間を過ごせるという点も、大きな差別化になっています。

 

■高校生×地元生産者——古民家カフェが生んだ地域の輪

エアコン清掃状況について語る大地氏

―― 地域との連携という点でも、ユニークな取り組みをされていると聞きました。

大地氏

高校生を中心としたSDGsの活動として、地域の食材を使ったメニュー開発から販売までを手がける取り組みを進めています。

古民家事業をきっかけに地域のさまざまな企業様と知り合うことができ、その縁で地元の生産者、お茶屋さん・味噌屋さんなどとコラボして、カフェのメニューを開発・販売しています。

面白いのは、このメニュー開発にデザイン思考を取り入れていることです。

私たちが学んだことを高校生に伝え、新メニュー開発時にはデザイン思考の考え方でグループ分けをして、アイデアを出して収束していく手法を使っています。

実際にいろいろなアイデアを出し合って、試作して、販売してみる。

採用されるのは一チームだけなので、残りのチームは悔しい思いをしますが、「なぜ選ばれなかったのか」を考える機会になります。

試作の段階で明らかに失敗しているチームもありますが、それがチームワークや段取りの重要性を学ぶ機会になっていると感じますね。

学校の先生も、そのような高校生たちの取り組みを見て、「失敗してほしいぐらいだ」とおっしゃっています。

 

―― 失敗することに意味がある、ということですね。

大地氏

そうです。値付けの難しさや、同じ商品でも見せ方によって売れ方が変わるとか、試作してみたら時間内にできなかったとか。

そういう学校では学べない経験を、地域の大人たちと一緒に体験できる。

高校生たちにとっては地域の特産品を知るきっかけにもなるし、学校の関係者や保護者の方が来てくださることで、カフェとしての集客にもなります。

収益を上げるということだけでなく、地域の輪が広がっていくことの価値は大きいと考えています。

 

■エアコン清掃事業——デザイン経営から生まれた意外な展開

オカムライズ大地氏

―― すでに多くのサービスを手掛けられていますが、新しい事業展開について構想はありますか?

大地氏

現在、オカムライズでエアコンの清掃事業を新たに展開しようと計画しています。

旅館業やカフェを運営していると、エアコンの清掃を業者さんに定期的にお願いするのですが、結構な費用がかかるんです。

そこで自社でできないかと考えたのが、エアコン事業のきっかけです。

そこからもう少し広げて考えると、親会社であるオカムラホームの住宅事業では、これまでお引き渡しした数千件のオーナー様がいらっしゃいます。

エアコンは今後法規制によって高グレード品しか出回らなくなっていく方向で、買い替えより長く使いたいというニーズが高まる。

そのお客様向けにエアコン清掃を提供できれば、既存の顧客基盤を活かした事業になる、という発想です。

 

―― 旅館の運営課題から、既存顧客向けの事業へと発展したわけですね。

大地氏

まずは自社施設で練習しながら始めて、慣れてきたら徐々に拡大していく予定です。

いきなり大きく動くのではなく、スモールスタートなら、万が一うまくいかなくてもリスクは小さい。

デザイン経営の考え方で言えば、お客様の課題から発想して、自分たちが持っているリソースとつなげていく。

その掛け合わせから新しいことが生まれるのかなと思います。

■これからデザイン経営に取り組む方へ

オカムライズ大地氏

―― 最後に、デザイン経営に興味を持っている方へ、実践されている立場からアドバイスをお願います。

大地氏

一番大切だと感じているのは、代表だけがわかっている状態ではなく、幹部・中核メンバー、できれば末端のスタッフまで、同じ考え方・同じベクトルを持つということです。

デザイン経営やデザイン思考の考え方は、知識として持っているだけでは意味がない。

実際に小さく試してみる、うまくいかなくても次に活かす、という実践を積み重ねていくことで、組織の中に少しずつ浸透していくものだと感じています。

私たちも、まだ道の途中ですが、「試してみる」を繰り返した先に、思いもしなかった出会いや事業がある。それは実感として言えます。

 


株式会社オカムライズ マネージャー 大地諭氏

千葉県佐倉市を拠点に、古民家を活用した貸切旅館・古民家カフェ・レンタルスペース・「Saunacamp かぐやの森」などを運営する株式会社オカムライズのマネージャーを務める。親会社・株式会社オカムラホームがデザイン経営を実践する中、グループ全体にデザイン思考を浸透させながら、地域に根ざした多角的な事業展開を推進している。


 

一般社団法人ブランディングデザイン協会(BDA)では、デザイン経営・デザイン思考に関心をお持ちの企業・経営者の方に向けた会員制度をご用意しています。

詳細はこちらからご確認ください。

「デザイン経営」という言葉を耳にしたことはあっても、「自分の会社には関係ない」「難しそう」と感じている経営者は少なくありません。
しかし、不動産・建築業を営む株式会社オカムラホームの金子保夫社長は、2019年にBDA(一般社団法人ブランディングデザイン協会)と出会い、7年以上にわたってデザイン経営を実践し続け、結果的に組織は大きく変わり、業績も着実に伸びたといいます。
「デザイン経営の実践は難しいことではない。むしろ楽しい」と語る金子社長に、リアルな実践のプロセスと成果について詳しくお伺いしました。

■デザインとの出会い「アートやビジュアルではなく、経営そのものだ」と気づいた瞬間

――それでは、まずデザイン経営に興味を持ったきっかけと、なぜ取り組もうと思ったのかという点について教えてください。

金子社長
弊社は昨年2025年12月に30周年を迎えたのですが、私がデザイン経営と出会ったのは2019年でした。経済産業省・特許庁が「デザイン経営宣言」を発表した翌年のことです。
当時の私は「デザイン」という言葉を、アートやプロダクトのビジュアルのことだと思っていました。
そんな中、現在BDAの代表理事を務めている長尾徹先生と、共通の友人を通じて知り合いまして。長尾先生は千葉工業大学デザイン科学科の教授で、デザイン思考を活用して経営を進めていく手法について話してくださったんです。
「デザインとは、プロダクトやアートといったビジュアルに限定されるものではなく、すべての物事に関わるものだ」という考え方に、すごく興味を持ちました。

―― 不動産・建築という業種でも、以前からデザインへのこだわりはあったと思います。それでもBDAに加盟しようと思ったのはなぜですか?

金子社長
私自身はデザイン性にこだわって経営を進めてきた自負はありました。ただ、代表である私だけがデザインにこだわっていても限界がある、ということを痛感していたんです。
社員全員がデザイン思考を通じてプロダクトやサービスをつくり、経営を進めていける組織にしたい。そう感じたことがBDA加盟のきっかけです。
もう一つ正直に言うと、経営理念や会社のパーパスは頭の中にあるのに、それをうまく言語化して社員に伝えることができていなかった。私が一人で作った経営理念が「お題目」になってしまっている、という課題を強く感じていたことも、デザイン経営に興味を持ったきっかけです。

■「言語化」がすべての起点だった——BDAのツールで、頭の中が整理された

―― 実際にデザイン経営を取り入れる際に、最初にどんな取り組みをされましたか?

金子社長
まず行ったのは、社員と一緒に理念を共有すること、そして自分事化してもらうことです。
私自身の想いとして、社員が私と同じ思いで仕事をしていく、お客様に接するというところがスタートです。
具体的には、BDAのツールを活用しながらデザイン思考を学んでいきました。
「我々が何を大切にし、どういう想いで経営を進めていくのか」という点を明確にし、全社員がツールを使って講義を受け、ベクトルを合わせていく工程を最初に行いました。

――経営者の経営理念や想いを社員と共有していくことは大切なことですが、実際に苦労されてる企業は多いと思います。
BDAにはそのツールや手法までセットであり、サポートしてもらえるということですね。

金子社長
そうですね。そして、BDAと関わって一番良かったのは、自分の想いや理念が体系化・整理されて、言語化できたことです。
頭の中になんとなくあったものが、ツールを使うことで整理されて、どのようにお客様や社員に伝えればいいのかを体系化できたことが大きかった。
言語化してからは、その言葉をみんなと共有し、会社が考えていることに社員が共感して、その共感の中で仕事を進めていける状態を目標にやってきました。今まさに、ベクトルが合ってきているというのが現在地です。

■「10人強が辞め、5人が戻ってきた」——変化の痛みと、その先にあったもの

 ―― デザイン経営を実践してみて、社員のマインドや組織にどんな変化が生まれましたか?

金子社長
正直に言うと、理念を言語化して伝えた時に、その想いに共感できない社員もいました。
そういう方々は辞めていきました。10人強いましたね。

―― それは大きな変化ですね。

はい。ただ、その後、辞めた方のうち5人ほどが戻ってきてくれたんです。
一度外に出て、いろいろ見た上で「やっぱり戻りたい」と言ってくれた。それはつまり、私の想いが言語化されて伝わったということだと思っています。戻ってきた方は今、すごく活躍してくれています。
辞めた時は正直つらかったですが、今考えれば、ベクトルの違う人たちと一緒に仕事をしても、いい仕事はできない。デザイン経営を実践することによって起きた副産物だったなと思っています。

―― 組織として、具体的にどんな変化を感じていますか?

金子社長
一番大きいのは、「同じ言語で会話できるようになった」ことです。共通のビジョンがあるから、打ち合わせや会話がまとまりやすくなった。
それと、仕事の「基準」ができたんです。「これが我々の仕事だ」という言語化ができているので、それに外れることがなくなった。社員自身も「あ、これは違うな」「これは合ってるな」という判断がつきやすくなっています。
また、3ヶ月に1度「理念共有会」を行い、私の想いと言語化したものをテーマに話し合いを続けてきました。
以前は単年度の数字目標だけを追いかけていたのが、今は5年後のビジョンに向けて、会社と社員がやりたいことが一致してきている。信頼関係の中で、仕事の質も向上してきたと感じています。

■「House(ハウス)ではなくHome(ホーム)をつくる」5年後を見据えた企業姿勢に変化

―― 商品やサービス面での変化も教えてください。

金子社長
先ほど申し上げたように、以前は単年度の計画を達成することを繰り返していました。目標をクリアしたら、また次の1年が始まる。その繰り返しがずっと続く感覚が、正直嫌だったんです。
デザイン経営を通じて、5年後の姿を目指して今やるべきことを考え、進んでいく形に変わりました。お客様が今何を課題にしているか、何を望んでいるかをしっかり仕事に落とし込んで、サービスをブランド化していこうと。

―― 根本的なコンセプトが変わったということでしょうか。

金子社長
そうですね。元々お客様のことを一番に考えて経営してきた部分は変わりませんが、「数字を追いかける会社」ではなく、「お客様の幸せを追いかけることで、数字がついてくる会社」にしていきたいと思ったんです。
我々は不動産・建築全般を扱っていますが、ただ建物を建てる営業ではなく、「人生の豊かさを設計する提案者・サポーター」でありたいと。「House(ハウス)ではなくHome(ホーム)をつくる」という理念があって、引き渡しがゴールではなく、引き渡しがスタート。ずっとご縁をつむいでいける会社でありたいということを、社員と言語化して決めています。
お客様から「ありがとう」と言っていただける仕事をした対価が数字だということを、みんなで積み重ねていこうというシフトチェンジです。

■利益は「ジグザグ」から「右肩上がりの曲線」へ。7年間の数字が語ること

―― 経営者として、費用対効果についてはどう考えていますか?

金子社長
BDAと関わっていく上で、もちろんある程度の費用は発生します。
ただ、先ほどお話ししたように社員や会社のマインドがどんどん変わっていく実感があって、費用対効果はものすごく大きいと感じています。
全社員が一丸となって同じベクトルで仕事をしていけることは、プライスレスというか。今までかかった金額は、本当に安かったなと思っています。

―― 売上や利益といった数字への影響はいかがでしょうか?

金子社長
2019年にデザイン経営と出会う前、利益は「ジグザグ」だったんです。いい物件が買えたり、いいプロジェクトに当たれば利益が積み重なるけれど、それが計画通りにはいかない。平均的ではなかった。
2019年以降の7年間の軌跡を見ると、売上の伸びは微増ですが、利益率は大きく改善しています。
デザイン経営を始めてから2年ほどはギリギリの黒字が続きましたが、その後は目標通りにしっかりと利益が出てきていて、ジグザグではなく右肩上がりの曲線になっている。
経営をしていて予測が立てやすくなったのも、大きな変化のひとつです。

―― 即効性ではなく、時間をかけて地盤を固めていくイメージですね。

金子社長
そうですね、持続するということが大事だと思います。経済産業省のデザイン経営宣言を実践した企業では利益が2〜3倍になっているというデータもあって、まさにその通りだと実感しています。

■デザイン経営を実践するために、最も大切なこと

―― これから取り組もうと考えている経営者に、実体験からアドバイスをいただけますか?

金子社長
まず、社員任せにしないこと。社長・代表者自身が本気で取り組むことが大事だと考えています。
「デザイン経営を導入しよう、では担当者を決めて任せよう」という形ではあまり意味がない。社長自身がデザイン経営のコンセプトや理念に共感してマインドセットをして、社員と同じベクトルを築くことが必要です。
企業の姿勢として「デザイン経営をやってるよ」と言いたいがためにやるのであれば、やらない方がいいかもしれません。

―― 実際に取り組む中で、苦労したことはありましたか?

金子社長
もちろん細かい課題はその都度出てくるのですが、苦労というよりは、楽しさの方が大きかったですね。
創業した時の想いに返って、仕事をする意義を会社や社員に伝えていく中で、変わっていく楽しさを感じました。

―― 最後に、デザイン経営に興味を持っている経営者の方へ一言お願いします。

金子社長
デザイン経営を実践することで社員とのコミュニケーションが増えて、みんなを巻き込んでいけることがすごく大事です。
社長と社員の距離って離れがちですよね。でも、デザイン経営を通じてグッと近づいて、自分という人間を分かってもらって、共感してついてきてくれる人と仕事をしていく。それが、これからの経営の肝だと思っています。
辞める人が出てくるかもしれない。その時は痛みかもしれないけど、後からの効果はすごく実感できます。
やらない手はない、と思います。早ければ早いほどいい。
この時代だからこそ、何のために会社が存在し、何のために仕事をしているのかを全員が共通に思える状態をつくることが、筋肉質で強い会社になることに直結すると、7年間の実践から確信しています。

 


株式会社オカムラホーム 代表取締役 金子保夫氏

一般社団法人ブランディングデザイン協会 理事。

不動産・建築業として1995年創業、2025年に30周年を迎える。2019年よりBDAのもとでデザイン経営を実践。「House(ハウス)ではなくHome(ホーム)をつくる」を理念に、引き渡し後も長期にわたり顧客に伴走するサービスを展開している。


 

一般社団法人ブランディングデザイン協会(BDA)では、デザイン経営・デザイン思考に関心をお持ちの企業・経営者の方に向けた会員制度をご用意しています。

詳細はこちらからご確認ください。

2020年8月に創立したbdaも今年で3周年となります。

おかげさまでbdaのことを知っていただく機会が多くなりました。

ありがとうございます。

bdaに興味を持ってくださった皆様にbdaメンバーのことをもっとお伝えしたいなと思い、bdaに参画したきっかけやbdaのこれからについて「一問一答」形式でインタビューしています。

bdaメンバーにQ「bdaとの出会い」(長尾 徹)

長尾 徹 ーNagao Toru-

一般社団法人ブランディングデザイン協会 代表理事

3CS DESIGN株式会社 CDO Chief Design Officer

千葉工業大学 教授 博士(工学)

 

千葉大学大学院工業意匠専攻修了、(株)イトーキ、千葉大学デザイン工学科講師

専門分野は「情報デザイン、インダストリアルデザイン、プロジェクトマネジメント」

自身のパーパスは「人と社会のありたいビジョン実現を推進する人を育成したい」


1. bdaに参画したきっかけは?

民間企業でデザイナーとして働いた後、大学でデザインを教えるようになったのですが、その間に自分の専門性がデザインの広がりと共に変化してきました。

プロのデザイナーを教育する方法も変化してきて、その中でいろいろと考えているうちにデザインの本質を理解すると社会的にも有為な結果を残せるのではと思い出しました。

世の中でもデザイン思考やデザイン経営などが注目され始めた時に、自分でも何かできることがあると思いつつ、実務に追われて動き出すことをしなかった時に、メンバーである金子理事に声をかけてもらって、やってみようと思ったのがきっかけです。

2. bdaの魅力とは?

魅力はなんと言っても、さまざまな立場のメンバーが混在していることですね。

bdaとしてのベクトルはほぼ同じでも、進み方や物事の捉え方がそれぞれ違います。

その違いを意識しながら、自分の考えを修正というか、客観的に見ながら考えられるのが良いなと思っています。

それは、bdaと共創いただく方々との関係でも同じかもしれませんね。

3. bdaのメンバーについて

メンバーは結構率直に自分の意見を言える関係にありますね。

年齢もまちまちで、私が一番年上で、皆さん尊重してくれますが、しっかり疑問も提示してくれるので良い仲間だと思っています。

皆さんが、しっかりと自分の専門性を持っているからでしょうね。前の質問と被る部分もありますが、多様性があっていいと思います。

4. bdaで成し遂げたいことは?

デザインがもつ力の本質を、一般の方々に理解して、活用していただけるようなプログラムを作り上げたいと思っています。

制作したデザイン思考に関する高校生向けの教育番組でも言っていますが、デザインの本質を「想像と創造」(詳しくはbdaのwebで参照してください)というプロセスを分かりやすく具体化して、どなたでも使いやすいプログラムを作り上げたいと思っています。

5. bdaの未来について

これは難しいですね。

世の中に必要な知見を広める活動を継続してやっていければ良いと思いますが、bdaの理想が叶えられると全ての人が「デザイン思考」を活用できるようになるので、bdaの使命も終わってしまうようになったりするのかな?

でも人の営みは変化するので、その時に必要とされるものが出てくるでしょう。

それをしっかり解決することをやっているように思います。

2020年8月に創立したbdaも今年で3周年となります。

おかげさまでbdaのことを知っていただく機会が多くなりました。

ありがとうございます。

bdaに興味を持ってくださった皆様にbdaメンバーのことをもっとお伝えしたいなと思い、bdaに参画したきっかけやbdaのこれからについて「一問一答」形式でインタビューしています。

今回はマネージャー・広報担当の私、長尾が答えております。

長尾 貴代 ーNagao Takayo-

一般社団法人ブランディングデザイン協会 マネージャー

3CS DESIGN株式会社 マネージャー

中小企業支援機関で創業支援・経営相談に携わる。企業と共に歩む中で「デザインとデザイン経営」の奥深さを実感。デザイン経営を具現化することが使命と感じ、キャリアをシフトさせた。

パーパスは「うつくしいもので心を紡ぐ」。


1. bdaに参画したきっかけは?

2022年3月まで、さいたま市の中小企業支援機関の職員として創業、企業支援を行っていました。

入社当時から創業アドバイザーや外部の専門家としてお世話になっていたのが中小企業診断士でもあるbdaの井手理事です。

当時の私は「デザインやデザイン経営の大切さ」をいつも言葉にしていました。

セミナーでもデザイナーさんに登壇していただいたり、制作物をデザイン会社にお願いしたり、私にとっては当たり前のことでしたが、当時の職場はデザインにこだわるという風土がなかったので…そんな様子を見守っていてくださったのが井手理事で、たくさん助けていただきました。

bdaが設立して1年目だったと思いますが、bdaのブランディングデザインコーディネーター講座をオンラインで受講する機会をいただきました。

純粋に楽しかったですし、長尾代表理事や宮崎講師も丁寧に教えてくれて学びが多かったと思いました。

その時はまだ自分がbdaに参画するというのは考えてもいなかったですが、井手理事から誘っていただきキャリアシフトすることに決めました。

2. bdaの魅力とは?

なんといっても様々なバックグラウンドを持つメンバーがいるということだと思います。

大学教員、デザイナー、中小企業診断士、経営者。みんなが意見を出し合ってコンテンツを考えているので、どの立場に偏ることなく、バランスがとてもいいと思います。

3. bdaのメンバーについて

お互いに尊重し合っていると思います。「誰かが一番発言力があって、その人の顔色を見ながら意見を言う」みたいなことはないです。

bdaはフルリモートで運営していますが、毎日たくさん言葉がchatで飛び交い、月1回は必ずリアルでミーティングを行っています。

個別のメンバー同士だともっとリアルで会っているかもしれないですね。

オンライン、オフラインにこだわることなく、柔軟に対応しています。

「ユーザー視点」で物事を考えていくので、「これは受講者様にとってわかりにくいと思う」という意見は素直に伝え合い、改善に繋がっています。

4. bdaで成し遂げたいことは?

「デザインをもっと身近に感じてもらいたい」ということです。

新潟県の中小企業支援機関でも創業支援に携わっていたのですが、創業者の皆さんが「知り合いのデザイナーにお願いしてロゴと名刺作ってもらいました」といって見せてくださいました。

創業時から「セルフブランディングする」という方が多かったのでそれが当たり前だと思っていました。デザイナーさんとの接点もすごく多かったです。

どんな業種でもユーザーがいるわけですからデザインというのは切っても切り離せない。

私はデザイナーではありませんが、ユーザー代表として意見をお伝えします。

ユーザーの視点に立てば、「デザインはデザイナーだけが考えればいい」とはならないはずなんです。

5. bdaの未来について

「デザイン思考検定」という検定試験をリリースしたのですが、これはデザインを身近に感じてもらうため、学び始めてもらうための第一歩になると思っています。

デザイナーさんからも「デザインに関する資格があったらいいと思っている」というお声を度々耳にしていて、これからブランディングデザインコーディネーター、DXデザインコーディネーター資格をパワーアップさせる予定です。

「誰もがデザインについて語れる未来」をbdaが一緒に創っていけたらと思っています。

2020年8月に創立したbdaも今年で3周年となります。

おかげさまでbdaのことを知っていただく機会が多くなりました。

ありがとうございます。

bdaに興味を持ってくださった皆様にbdaメンバーのことをもっとお伝えしたいなと思い、まずは、bdaに参画したきっかけやbdaのこれからについて「一問一答」形式でインタビューしました。

2020年8月に創立したbdaも今年で3周年となります。 おかげさまでbdaのことを知っていただく機会が多くなりました。 ありがとうございます。 bdaに興味を持ってくださった皆様にbdaメンバーのことをもっとお伝えしたいなと思い、まずは、bdaに参画したきっかけやbdaのこれからについて「一問一答」形式でインタビューしました。 bdaメンバーにQ「bdaとの出会い」(渡邉 純人)

渡邉 純人 ーWatanabe Sumito-

一般社団法人ブランディングデザイン協会 監事

大手メーカーデザインセンター研究員


1. bdaに参画したきっかけは?

「縁」ですかね。

良縁、くされ縁…もはや何縁かわかりませんが(笑)。

振り返ると2019年に長尾代表理事から授業の依頼を受けて、学生の課題を検討している際、どうせやるなら実装実現しうる提案につながる課題の方がいいだろうと思った時に、金子理事の企画していた古民家カフェを思い出し、初めて授業説明の時に3者で顔を合わせたところから始まりました。

2. bdaの魅力とは?

「実行力」ですかね。

オンライン膝つき!?膝つきオンライン!?で、各プロジェクトを密に進め、実行している感じです。

決めたことはすぐに実行する、有言実行がbdaの魅力ですね。常に複数のプロジェクトが同時並行で進んでおり、時に早すぎて追いついていないこともありますが、そこは皆さんに都度、助けてもらっています。

3. bdaのメンバーについて

皆「大人」ですね。言いたいことは言い合いつつ、あるタイミングで自然と折り合いをつけてプロジェクトが進んでいく、いつもそんな不思議な感じです。

それもこれも、様々な経験を積んできたメンバー1人1人が皆、個を尊重し合った大人なんだなぁと思います。

4. bdaで成し遂げたいことは?

「デザインをジブンゴトに」ですかね。

毎度、言っていることなんですが、デザイナーです!と言った瞬間から誰でもデザイナーなんです。

デザインやデザイナー、それぞれ言葉の定義は我々の検定等でも学んで頂き、デザインをジブンゴトとして、社会にデザインが溢れている、そんな未来を実現したいと思っています。

5. bdaの未来について

「世界のbda」まずは日本では誰もが知っている状態、活動が広がり、誰もがデザインに、bdaに興味関心を持ってくれて、共創して、関わりが増えて、笑顔が増えて…その輪が世界に広がったら本望ですね。

小さな一歩から大きく世界へ、未来は自分たちで創るものだと思っています。未来が楽しみです。

2020年8月に創立したbdaも今年で3周年となります。

おかげさまでbdaのことを知っていただく機会が多くなりました。

ありがとうございます。

bdaに興味を持ってくださった皆様にbdaメンバーのことをもっとお伝えしたいなと思い、まずは、bdaに参画したきっかけやbdaのこれからについて「一問一答」形式でインタビューしました。

井手 美由樹 ーIde Miyuki-

一般社団法人ブランディングデザイン協会 理事

3CS DESIGN株式会社 CEO(代表取締役)

株式会社Ideal Works(認定経営革新等支援機関)代表取締役

中小企業診断士として1997年より活動、2016年株式会社Ideal Works設立。

専門分野は「中小企業支援策の活用、経営計画の策定、組織の活性化」

自身のパーパスは「かっこいい(尖ってる、儲かっている、働きたくなる)中小企業を増やす!」


1. bdaに参画したきっかけは?

金子理事に誘われました!(笑)

デザイン、デザイン経営、ブランディング、、、

中小企業診断士としてお仕事させていただく中、中小企業こそ大事だよなぁ、と思っていました。

「デザイン経営」という言葉は知っていて、特許庁の資料などを「やっぱりね!」と思いながら読んでいました。

でもどこから切り込んで、どう伝えていいか分からなかったところにbdaとのご縁があり、二つ返事で参加させていただくことになりました。

 

2. bdaの魅力とは?

一言で言うなら、多様性です。

産学官っていうと使い古された感じですが、教育者、経営者、官で働いたことがあるメンバーがいます。

デザイナー、コンサル、会社員、学生と肩書?も多様で、それぞれの背景、経験、価値観があり、いろいろな課題に対応できるところです。

 

3. bdaのメンバーについて

みんないい人です!(笑)

上記の通り、背景が多様なので、たまに議論がかみ合ってなかったりするかもしれませんが、お互いの価値観を尊重し合っています。

落としどころは互いに納得して、決めたことはちゃんとやります!!

 

4. bdaで成し遂げたいことは?

会社レベルでも、個人レベルでも「広義のデザイン」の楽しさ、可能性、有効性を知って欲しいです。

そのために、デザイン思考検定、ブランディングデザインコーディネーター、DXデザインコーディネーターを広めたいです!

 

5. bdaの未来について

「デザイン思考で未来を描ける仲間」のネットワークを世界に広げます!

前回に引き続き、bdaとともにセミナーやSDGs活動をおこなっている株式会社オカムラホーム大地諭さんにお話を伺いました。

大地さんはbdaの「ブランディングデザインコーディネーター初級講座」を受講して、ブランディングデザインコーディネーターとしての勉強をしてくださっています。

後編ではブランディングデザインを取り入れたことによる効果と今後の展望について語っていただきました。

インタビュイー 大地 諭様

株式会社オカムラホームWebサイト

https://www.okamura-home.co.jp/

株式会社オカムライズWebサイト

https://www.okamura-is.co.jp/

インタビュイー 大地 諭様

【経歴】

大学で建築を学び、卒業後はマンションディベロッパーに就職する。
ディベロッパーでは現場監督として施工管理をおこなっていたが転職。
転職後はアパート建築の現場監督・分譲住宅建築・注文住宅建築・企画・営業・原価管理など住宅に関するあらゆる業務を経験する。
不動産・建築の総合企業である「株式会社オカムラホーム(本社:千葉県八千代市)」に転職していた先輩に誘われ、35歳の時に入社。
現場監督から商品企画・営業・造成管理を経て、現在は建築部門の責任者およびグループ会社「株式会社オカムライズ」の責任者を担っている。

「ブランディングデザインと出会って変化したこと」

━━今、オカムラホーム様で取り組まれている、MIRAIKOMINKA for schoolのプロジェクトの詳細を教えていただけますか。

2021年に一般社団法人MIRAIKOMINKA for schoolを設立しました。

MIRAIKOMINKA for schoolでは地域の産官学が連携して子供たちの未来のためにSDGs活動を推進していくことを目標に掲げています。

1期目は佐倉市の地域課題、SDGsの問題を解決するためにスイーツ開発をしました。

佐倉市内の飲食店さん、佐倉市役所などステークホルダーの方々と佐倉市内の高校生が地域のために何ができるかを共に考えながら制作しました。

このプロジェクトは現在2期目を迎えています。

 

━━SAKURAスイーツですよね。どれも本当に美味しそうです。

とっても美味しいですよ。

1期目のSAKURA スイーツでは地域に眠っている素晴らしい特産物や有機野菜、SDGsを解決するための規格外野菜、フェアトレードチョコレートを原材料に使用しました。

地域産業の発展のみならずSDGs活動をいろんな方に知っていただくきっかけになればと思い、原材料にも配慮して開発し、イベント等で販売をしました。

販売した収益の一部は飲食店さんからMIRAIKOMINKA for schoolにいただき、高校生がSDGsに寄与する団体に自分たちの手で直接、寄付金を渡すという活動をおこないました。

 

━━活動も順調に2期目に入っているとお伺いしています。できることの幅は広がってきていますか?

2期目は佐倉市に加えて、千葉市、船橋市の各市長全面協力の下でバックアップしていただきながら、1期目同様に学生たちや飲食店さんと共に活動しています。

このプロジェクトは大きな利益が出るわけではありませんが、協力してくださっている皆様が「子供たちや地域のために活動していこう」という同じ想いと目標を持って進めています。

現在、オリジナルスイーツ&フーズを販売中です。

飲食店さんも美味しいものを作って学生たちや地域の方に「このお店の○○美味しいね」と言われたいという想いを持ち、飲食店さん同士切磋琢磨しながら一生懸命作っています。

2期目は千葉県からも協賛をいただき、先日は「ちばコラボ大賞(千葉県知事賞)」を受賞しました。

とても反響が大きく、地域活動をしている他の団体さんからもお問い合わせをたくさんいただいており、これからどのようにコラボしていくかを検討しています。

 

━━どんどん広がりが生まれているのですね。

そうですね。最終的には私たちの活動をパッケージ化できれば、全国で同じような活動が広がるのではないかと思っています。

 

━━こういったSDGsのプロジェクトも含めて、プロジェクトを立ち上げるにあたってデザイン思考やブランディング、ブランディングデザインコーディネートが役に立ったなと思われた瞬間はございますか。

そうですね、ブランディングデザイン協会さんにご協力いただきながらいろいろなアイデアを出してビジョン・ミッションの策定やロゴマークも含め、ブランディングはわかりやすく伝わりやすいデザインを心がけてきました。

想いをしっかりと伝えることができなければ、私たちがいきなり学校に行って「こういった取り組みをしたいので高校生の参加を求めます」と言ったとしても、高校生の大事な授業の時間を使わせていただく上での理解は得られなかったと思います。

特に1年目は前例もないため、難航することを予想していました。

それでも協力を得られたのは、私たちの熱量に加えてプロジェクトの理念や目的、ゴールを定めてからスタートしたことが良かったのではないかと思います。

スタート後もたくさんの人を巻き込んできましたが、私たちが何をやりたいのか、どういった展望があるのかを明確に伝えることによって共感や賛同してくださる人たちが増え、規模が拡大してきたのだと思います。

一般社団法人MIRAI KOMINIKA for School Webサイト
一般社団法人MIRAI KOMINIKA for School Webサイト

━━しっかりとブランディングをされてプロジェクトを推進した結果、どのようなことが起こったのでしょうか。

1年目は右も左もわからないというところからのスタートでしたが、千葉県知事に表敬訪問というかたちでプレゼンをし、テレビや新聞、Webメディアの方にも取材に来ていただきました。

2年目には民放だけでなく、NHKにも取材に来ていただけるようになり、来期は八千代市や他市でも参加校が増える予定です。

ここまで活動の輪が広がりたくさんの方にご協力いただけているのは、様々なアイデアを潰さずに掛け算し、みんなで考えながら進めてきた結果なのではないかと考えています。

MIRAIKOMINKA for schoolでもまた0から1を作ってきたわけですが、この活動にもデザイン思考が生きていると思います。

 

━━ありがとうございます。このプロジェクトでもデザイン思考がお役に立てていることはとても嬉しいです。大型の取材につながるなど、良い方向にどんどん広がっているのを感じます!

そうですね。1年目はなかなか取材にも来ていただけなかったです。

活動の様子をこちらから発信しても梨のつぶてでした。寄付についてもまだ実績がなかったので「実績がないとね」と言われ、悔しい思いをしたのを覚えています。

自分たちがやっていることに自信はあったので、「1年、2年経ったら向こうから取材に来たいって言ってもらえるように頑張るぞ!」と社内で話していたら1年後に本当に取材に来ていただけるようになりました。

こんなにも短期間で目標が現実になるとは思っていなかったので本当に嬉しかったです。

それには関わっていただいた行政の方、地域の方、イオンさんをはじめとした企業の方からもこの活動に賛同していただいたことが非常に大きいと思います。

 

━━ブランディングをしっかりとデザインされていたので、そのブランディングに共感する人が集まり、輪がどんどん広がったということですね。

まったくその通りです。ブランディングしたことでたくさんの人に共感していただき、活動が良い方向に向かっていると思います。

「オカムラホームが目指す“豊かな暮らし”」

━━最近、オカムラホーム様は事業拡大のため、M&Aをして従業員数も増えたとお聞きしています。ブランド価値の共有による変化や実感はありましたか?

ブランディングの勉強をしていく中で物事を自分事として捉えることやインナーブランディングの話題がスタッフの間でも頻繁にでるようになりました。

特にインナーブランディングについては自分たちが会社のことをよく知り、好きでないと外部には発信ができないので先程のミッション・ビジョン・パーパスも含め定期的に発信をしてみんなの意識づけをしています。

今回、M&Aをした会社に関しても吸収した当初はスタッフみんなが不安な状況だったと思います。

だからこそ、早い段階でミッション・ビジョン・パーパスやインナーブランディング、オカムラホームの地域貢献についてまとめた動画を見てもらえたことには価値があったと思っています。

「自分たちはとてもいい会社に入った」と、全ての新しいメンバーに感じてもらうことを目標に、ブランディングを軸に共有を行っていったんです。

実際は人対人の付き合いですから、弊社のスタッフに会ってもらい、弊社の飲食、バーベキュー施設の気持ちの良い空間の中で食事を取りながらみんなで今後について話をしました。

お客様に対しての想いをしっかりと伝えたところから一気に距離が縮まり、今ではずっと前からいた社員のように良い連携が取れ始めています。

 

━━素晴らしいですね。ブランディングに共感してもらい、自分たちの想いを伝えることができたことによって人数が増えてもどんどん良い方向に向かっているということですね。

そうですね。オカムラホームがどんなことをしたいのか、今は何をしているのか、これからどこに向かうのかということをしっかりと共有することができるようになりました。

ブランディングコーディネーター講座の受講以降はスタッフの間でも自然と意識づけされてきたと思います。

 

━━デザイン思考を取り入れて良い方向に向かっているオカムラホーム様ですが、これから更に多くの方にオカムラホーム様を知っていただく機会が増えると思います。

オカムラホーム様は皆様からどのように認知されたいと思いますか。今後の展望もお聞かせください!

オカムラホームは不動産・建築の総合企業ですが、中小企業でこのように多岐に渡って様々な事業をおこなっている会社は少ないと思います。

不動産事業だけでも非常に幅広いです。

地主様のお困りごとを解決する地域密着の事業から都心のマンションや中古物件の売買や仲介、中古物件をリノベーションして再販や賃貸物件の管理等多くの不動産事業をおこなっています。

建築事業ではアパート・店舗・一般住宅建築、注文住宅、建売住宅の新築の他、古民家のリノベーションもおこなっています。

それ以外にもサービス業として飲食や古民家旅館、古民家カフェ、レンタルルーム、ベトナムの海外事業など非常に多岐に渡っています。

こうした幅広い事業を多くのスタッフを交えておこなっているので、各事業のブランディングはもちろんですが、全事業がまとまって「オカムラホーム」という会社があるということをわかりやすく丁寧に発信していく必要があると思っています。

私たちの理念として「携わったすべての人が豊かな暮らしになるように」という想いがあります。

その想いをオカムラホームとしてはお客様や関係者の方々にしっかりとお伝えしたいですし、携わっていただいた方にそう感じていただけるような事業を展開していきたいと思います。

「ものづくりで人に幸せになってもらいたい」という私の想いと通じるものがありますが、ものづくりに限らず、「この地域にオカムラホームがあって私たちの暮らしが豊かになった」と言っていただけるような企業を目指しています。

 

━━オカムラホーム様の「携わったすべての人が豊かな暮らしになるように」という理念の「豊かさ」とはどういったことだとお考えですか?

豊かさ、にも色々な種類があると思いますが、やはりオカムラホームでは「オカムラホームで家を買って・改装して、暮らしがより幸せに楽しくなった」ことを豊かさだと考えます。

住宅に関するエピソードになりますが、先祖代々受け継いできたお家をお持ちの方がいらっしゃいました。

古民家は特に寒いというお悩みをお持ちの方が多いです。そういったお悩みを解決するためにリノベーションをして寒さや暑さに悩むことなく快適にオシャレにデザインされた住宅で暮らせるということも「豊かな暮らし」だと思います。

賃貸アパートにお住まいでいらっしゃった方は結露や寒さに悩んでいらっしゃいましたが、オカムラホームが提案する高気密高断熱で健康に良いお家にお住まいになって非常に快適に暮らせるということも「豊かな暮らし」ということだと思います。

これはオカムラホームの誇るべき文化の一つだと思うのですが、住宅建築後、お引き渡しの時にはサプライズのセレモニーをします。

契約前から、契約・打ち合わせ・ショールームへの見学・現場でのイベント・完成に至るまでを写真に収め最後に動画としてまとめ、お客様にプレゼントをするのですが、多くのお客様が感動で泣いてくださるのがとても嬉しいです。

私たちは常にお客様のハードルや期待値を超えたお家やサービスを提案させていただきます。

━━そのような豊かさを実感できる住宅を作られているのですね。カスタマーエクスペリエンスとしても、最高だと思います。

お客様に「オカムラホームで建てて良かったです」と喜んでいただけるようなことを当たり前のようにやってきていましたが、これまでは残念ながら、その「豊かさ」をしっかりと表現し、外に伝えることができていませんでした。

良い建物を作り続けてはいましたが、世に出さずに終わっていたのです。良い建物は写真を撮って伝えなければ、自己満足でしかありません。

現在ではSNSやチラシなどでも丁寧にデザインにこだわって発信しています。

Instagramをご覧になったお客様が「オカムラホームのお家はおしゃれなイメージだったのでお願いしました。

自分たちの想像を超えた素敵なお家が建ちました」と言ってくださるのですが、これはデザインの統一感や完成イメージの共有ができているからだと思います。

私たちがずっと悩んでいた部分を解決に導いてくれたのが、ブランディングやデザイン思考。ブランディングデザインコーディネーター講座をみんなで受講したことで、オカムラホームの目指す「豊かな暮らし」を、さらに丁寧に、大切に作っていけるようになると思います!

━━本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。


 

bdaとともにセミナーやSDGs活動をおこなっている株式会社オカムラホーム大地諭さんにお話を伺いました。

大地さんはbdaの「ブランディングデザインコーディネーター初級講座」を受講して、ブランディングデザインコーディネーターとしての勉強をしてくださっています。

前編では大地さんが感じていたデザインに対する課題と講座を受講したことにより生まれた変化について語っていただきました。

インタビュイー 大地 諭様

 

株式会社オカムラホームWebサイト

https://www.okamura-home.co.jp/

 

株式会社オカムライズWebサイト

https://www.okamura-is.co.jp/

インタビュイー 大地 諭様

【経歴】

大学で建築を学び、卒業後はマンションディベロッパーに就職する。
ディベロッパーでは現場監督として施工管理をおこなっていたが転職。
転職後はアパート建築の現場監督・分譲住宅建築・注文住宅建築・企画・営業・原価管理など住宅に関するあらゆる業務を経験する。
不動産・建築の総合企業である「株式会社オカムラホーム(本社:千葉県八千代市)」に転職していた先輩に誘われ、35歳の時に入社。
現場監督から商品企画・営業・造成管理を経て、現在は建築部門の責任者およびグループ会社「株式会社オカムライズ」の責任者を担っている。

 

「良いものを作りたい、という想いから建築の道へ」

 

――本日はよろしくお願いいたします。

大地さんは大学で建築を学ばれていたとのことですが、建築を学ぼうと思ったきっかけ、興味を持ったきっかけを教えてください。

多くの方が将来について悩むことがあると思うのですが、私も大学受験の際に将来や卒業後の進路について色々と考えました。

得意なことや子供の頃からの想いを振り返ってみると、数学・物理を中心とした理系教科が得意だったこと、ものを作ることがとても好きだったことを思い出しました。

夏休みの宿題で出された工作やラジコンカーを率先して作るなど、ものづくりがすごく好きな子供だったんです。

そのようなきっかけから理系の中でもものづくりに携わることができる建築や施工管理に興味を持ち始めました。

 

――今までマンション・アパートの現場監督や企画など様々な経歴を積まれていますが、大地さんがお仕事をする上で大切にしていることや、楽しいと感じる瞬間はございますか。

やはり、良いものを作ること、そしてものづくりを楽しむことを仕事の上で大切にし続けてきています。

大学卒業後、最初に入社した会社ではマンションの施工管理の仕事をしました。

夢を持って社会人になりましたが、入社当時は「24時間働けますか」という風潮もあり業種としても非常に過酷だったのが今でも忘れられません。

マンションを建築するにも短い工期で仕上げる必要があり突貫工事でした。会社の利益のための施工管理という側面があったんです。

「ものを作りたい」という想いを持ち、それを大切にして楽しみながらも、利益のための施工管理だけを続けていると「何のためにものを作っているのだろう」という気持ちが芽生えてきました。

そのような経験から「良いものを作りお客様に喜んで住んでいただく」そんな住宅を作りたいと夢見るようになったのです。この想いは、今でも私が働くための一番の力の源となっています。

その後は転職を重ねて現在のオカムラホームに入社しましたが、オカムラホームで長く働けている一つの理由が「良いものを作りお客様に喜んで住んでいただきたい」という想いを社員ひとりひとりが共有しているからだと思います。

 

――大地さんは0から1を作っていく仕事、ものづくり的な仕事が楽しいと感じられているんですね。

振り返ってみると、元々「0から1を作ることが得意」というわけではなかったと思います。

社会人になってからはチャレンジの連続で、気が付いたらいろんな会社で0から1を作るという部署に配属されていました。

その仕事に奔走するうちに、「あるものをやる」ではなくて「ないものを作って進んで、走りながら考える」ことのほうが得意になっていったと思っています。

 

――良いものを誰かのために0から作っていくことに喜びを感じていらっしゃるということですね。

「オカムラホームとの出会いと、見えてきた課題」

――オカムラホームとの出会い、入社の経緯についてお伺いしたいです。当時外から見たとき「オカムラホームはすごいな、いいな」と思ったところを教えてください。

オカムラホームを知ったのは、前職の先輩が先にオカムラホームに入社していて、連絡を取り合ううちに会社について教えてもらったのがきっかけです。

カムラホームに入社する前は「千葉の八千代市にある地場の工務店がどんな建物を建てているのか」ということに興味がありました。

実際に建物を見て、専属の大工さんが非常に丁寧に良いものを作っていることに感銘を受けましたのを覚えています。

精度もいいですし、使っている建材も優良で、地元できちんと商売をしているということが印象的でした。

 

――実際に入社してみて、驚いたことや感動したことはありますか?

入社当時は20~30人くらいの規模だったので、会長や社長とスタッフの距離が近くてびっくりしました。

週三日の朝礼では会長と社長の席まで各スタッフが椅子を持って行き、ホームルームのようにみんなで話をしていました。

前職が7,000人くらいの規模の会社だったのでアットホームな雰囲気には驚きました。

加えて、これは八千代市の地域性かもしれませんが、地主様や農家の方とお話する機会がたくさんあったのも初めての経験でした。

八千代市の人々の温かさに触れて自分の心が洗われるのを感じたんです。時間の流れもゆったりしていて、良い環境で仕事ができると感じました。

前職では満員電車に揺られて都内に行き、コンクリートジャングルで働いていましたが、オカムラホームに入社してからは都内とは反対方向に通勤して、地域の方々とお話をしながら本当にいいものを作ることに集中できることに感動しました。

他にも、「千葉での営業に成功している」こと自体が驚きでした。前職では一都三県を対象に営業をしていたのですが、東京・神奈川は人が多く土地が少ないですからお客様の反応もすこぶる良くて、建築前でも売れていました。

一方で埼玉・千葉となると地域性が出てくるので事情がちがいます。

もちろん千葉の中でも利便性の良い総武線沿線などはある程度早く売れるのですが、都心から離れれば離れるほど商売が難しいなという印象がありました。

千葉では建売の場合、お客様は建築後にデザインの好き嫌いや日当たりなどを考慮して購入されることが多いです。

注文住宅を選ばれるお客様が多いということもあるかもしれませんが、分譲住宅の販売は非常に苦戦しました。

千葉の中でも八千代市は前職の販売ではとても苦労したことをよく覚えています。

そのような経験があったので、八千代市を中心に住宅販売で成功しているオカムラホームはすごいなと思いました。

 

――オカムラホームが千葉県で成功している要因はどこにあるのでしょうか?

「地元密着で地主様や地域を大事にして地主様のお困りごとを解決する」ということです。

地主様のお困りごとを解決する方法として、オカムラホームでは土地をそのお客様に一番合った方法でご提案をして、様々な形で不動産の活用をおこなっていました。

今までいた会社では、土地をいろんなところからできるだけ安く買って、その土地に建物を建てて売っていくという手法が主流でした。

オカムラホームでは地主様や地域に対してしっかりと向き合っていることが、成功要因の一つだと感じています。

 

――オカムラホーム様は「地元密着で地主様や地域を大事にする」という独自の戦略を持ち成功されていたんですね。そのような中で、大地さんが感じる課題は何かありましたか?

当時のオカムラホームのお家は、私から見ても施工も良く、良いものを作っていましたが「オカムラホームらしいデザインのお家」はあまりありませんでした。

分譲地に合わせて様々な間取りの工夫やデザインのチャレンジはしていましたが、もっともっとデザイン力を上げていきたいという課題がありました。

また、分譲地を作るごとに販促のためのパンフレットやチラシの制作を外部のデザイナーさんに依頼していましたが、毎回コンセプトがばらばらでデザインの統一感もありませんでした。

以前から会長に「オカムラホームらしい外観のお家を作りなさい」と言われていましたが、なかなか実現できず、もどかしい思いをしていました。

伝えることも難しいですし、伝えたとしても想像を超えるようなものはできませんでした。

 

――オカムラホームらしいデザインのお家を作る、デザインの統一感を出す、デザインの要望を伝えるという課題を解決するためにデザイン思考を学ぼうということでbdaとのご縁につながったわけですね。

まずはチラシやWeb等の見た目のデザインがちぐはぐで、もっと良くしていきたいというところからの始まりでした。

その中でブランディングデザイン協会さんとの出会いがあり、社員全員がデザインの基礎知識やデザイン思考を学ぶ必要があると思い「ブランディングデザインコーディネーター初級講座」を受講しました。

「ブランディングデザインを取り入れて仕事をしていく」

大地 諭様

――受講前はデザイン思考にどのようなイメージをお持ちでしたか? また、受講後にイメージはどのように変化されましたか?

デザイン思考と言われても正直なところ、どんなものなのかよくわかっていませんでした。

デザインについて考え、絵を描くことや物を作ること、デザインをすることがデザイン思考なのかなというイメージでした。

これまでオカムラホームが依頼してきたデザイナーさんはこちらが要望したことに沿って、素材を当てはめて成果物を作ってくれてはいました。

ところが長尾教授からデザイン教育を受けている方々の学習内容を伺うと、デザイナーは単に成果物を作るだけではないということがわかりました。

製品やサービスの意義など全てを考えてトータルでデザインすることが、デザイナーとして必要な考えだと教育されているということにびっくりしました。

デザイン思考はとても奥が深くて、自分が考えていたものとは全く違うなというのが正直な印象です。

 

――どのあたりに奥深さを感じられたのでしょうか? ぜひ具体的にお聞かせください。

例えば一つの椅子をデザインするとして「良い椅子を作る」だけのデザインではなくて「誰が何のためにどういった環境で、設置されどういった人が座るのか。

且つ作り手の満足だけではなく商品としてニーズがあるのか、売れるのか」というような裏の裏の裏まで考えられてデザインされているということだと思います。

オカムラホームでもインテリアコーディネーターやデザイナーがいますが、深いところまで考えてデザインする必要があると思いました。

単に「モデルハウスのこの空間にこの椅子があったらいいよね、おしゃれだよね」ではなく「この住居空間の中で椅子を置くと想定したらこういう暮らしかなやこういう景色を見てもらいたいな。

だから、ここにはイス用の照明を置いて寛げる場所ができて家族との距離感がこうなるだろう」というところまで含めて「デザイン」なのだと漠然とですがわかってきました。

 

――これまでお仕事をされてきた中で、ご自身の取り組みで「デザイン思考に近いことをやっていたんじゃないか」と思った点はありますか?

新商品や新しいサービスを開発した際に、販売方法や周知方法などを考えスタッフたちとディスカッションをしながら事業を進めてきたことはデザイン思考に近いものはあったと思います。

ただ、それを一人でやっていたので円滑に「デザイン思考的」仕事ができていたかはわかりません。

今回、オカムラホームの多くのメンバーでブランディングデザインコーディネーター講座を受講したことによって視野を広げ、可視化・ジャンル分け・傾向分析をスタッフみんなでおこなえるようになったのは大きな進歩です。

アイデアを創出する手法についてはまだまだ勉強中ですが、ブラッシュアップしながら更にいろいろな考え方を持って話し合っていけるようになってきています。

アイデアのまとめ方についても変化がありました。

これまでは意見が膨大に出て、その中からなんとなく良さそうなもの選んでいたのですが、今ではたくさん意見を出して可視化後にアイデアをまとめ、収束させることができるようになりました。

なんとなく良さそうなもの「選ぶ」のではなく、社員ひとりひとりが出してくれたアイデアを「まとめる」ということが、会社が良い方向に向かっている理由の一つだと思います。

 

――アイデアの発散・収束の方法は初級講座でもしっかり取り組む部分ですね。他にも講座の中で印象に残っていることや、仕事に役に立っていることはありますか?

私はデザイナーではないですが、ブランディングデザインコーディネーター講座を受講したことにより、デザイナーへの意見をしっかりとまとめる・指示をする・伝えるということができるようになりました。

デザインの基礎知識を身に着けたことで外部のデザイナーさんの成果物に対して具体的な意見を伝えることができるようになったんです。

今回は全社的に受講したことで同じ知識の共有ができるようになったことも大きなポイントです。

 

――大地さんだけではなく、外部のデザイナーを含む「仕事全体の視座」があがったということですね。

以前は外部のデザイナーさんと何度も打ち合わせをして成果物を完成させていましたが、今では打ち合わせ回数が減ってきています。

講座で習ったCanvaやPowerPointのテクニックを使ってそのまま成果物として発表できるくらいのクオリティーで下地を作ってから外部のデザイナーさんと打ち合わせをできるようになりました。

ビジュアルで共有ができることで打ち合わせの回数が減っただけでなく、スタッフのモチベーションが高く保たれていることやスタッフ同士で自主的に学びを継続して、更に技術を磨こうしていることは会社にとって大変プラスなことです。

 

――デザイナーに対して想いや考えを伝える難しさは非デザイナーが直面する課題だと思いますが、ブランディングデザインコーディネーター講座を受講することによって可視化・言語化ができ、具体的に伝えられるようになったということですね。


後編ではブランディングデザインを取り入れたことによる効果についてお話を伺います。